砂漠の夜の幻想奇談



 美しい琵琶の音色が響く宴の広間。

並んで長椅子に座る王子達の後ろには召使達が控え、交代で給仕をしたり駝鳥の羽根の扇で涼しい風を送ったりと忙しい。

季節は初夏。

暑さも増してくる時期である。

喉越し爽やかなシャーベットを味わいながら、サフィーアは改めてカンマカーンを紹介された。

サフィーアのこともシャールカーンが話したが、本来の身分や地位は秘密のまま。

それでもカンマカーンは疑わしげな眼差しをすることなくサフィーアとの食事を楽しんでいる。

性格がおっとりしているのか、常にほんわかした雰囲気を出してニコニコしているカンマカーンに、サフィーアが癒しを感じていた時だった。

シャールカーンが杯を片手に尋ねた。

「ところで、なぜバキータを連れて来たんだい?」

バキータとは、先程のホワイトタイガー。

サフィーアも気になって耳を傾ける。