砂漠の夜の幻想奇談


小部屋に誰かが入ってきた。

今はすでに夕刻の礼拝の時間。

王族も使用人も皆、礼拝堂に集まっているはず。

ゆえに、こんな小部屋に来る者などいない。

カシェルダはとっさにサフィーアを背に隠した。

すると…。


「そこにいるのは…カシェルダですか?」

落ち着いた女性の声がした。


「王妃様!」

「母上!?」

驚く二人にニッコリと微笑みながら王妃様は近づいてきた。

「母上も礼拝をサボったの?」

のんきな姫の質問に、カシェルダは自分の仕事を思い出した。

「申し訳ございません!今すぐサフィーア様を礼拝堂へお連れ致します!」

慌ててサフィーアを部屋から連れ出そうとする護衛兼お世話係り。

そんな彼を王妃様は優しく止めた。

「お待ちなさい。サフィーアをここに」

自分の隣にサフィーアを連れてくるよう促す。