砂漠の夜の幻想奇談


「くっ!」

苦しそうにカシェルダが呻く。

三日月刀よりも小さな短剣は、ガチガチと音を立てながら徐々に押されていった。

「こんなものか?優秀な護衛官様の力量は」

「貴様!!」

馬鹿にされて頭に来たのか、声を荒らげるカシェルダ。

「姫!離れて下さい!」

部屋の隅に行けと促され、サフィーアは慌てて二人の傍から離れた。

それを横目に確認した瞬間、カシェルダが後方へ飛ぶ。

かと思ったら、体勢を低くしてシャールカーンに足払いをかけた。

「なっ!?」

ぐらついた敵に立て直す暇など与えない。

カシェルダは三日月刀を薙ぎ払うと、勢いよくシャールカーンを床に押し倒した。

「形勢逆転だな」

短剣の刃を王子の首筋に突き付け、不敵に笑ってみせる。