砂漠の夜の幻想奇談


反射的に声の方を向く。

すると、出入口の傍にシャールカーンを見つけた。


(シャール!?礼拝へ行ったんじゃ…!?)


驚くサフィーアを背中に隠し、カシェルダが一歩前へ出る。

「これはこれは、シャールカーン王子。いらっしゃったのですか」

冷静に話し掛けつつも、腰にある短剣へ密かに手をかけるカシェルダ。

「君がカシェルダかい?……成る程ね。確かに美形な上に男前だ」

シャールカーンも常に帯刀している三日月刀の存在を確認した。

「そんな君がお姫様を連れ帰るって?ハッ…この俺が――」


玉座よりも将軍職を望む青年と、西の国で負け知らずの若い護衛官。

「許可すると思う?」

どちらが先に動いたのだろうか。

サフィーアにわかったことは、剣で攻めたのがシャールカーン、刃を短剣で受け止めたのがカシェルダということのみだった。