砂漠の夜の幻想奇談


物騒な話をしながら、手を伸ばす。

王子の指先がサフィーアの黒髪に絡んだ。


「君の髪はサラサラだね。手触りが気持ちいいよ」


ここは執務室。

長椅子にもたれかかるシャールカーンの隣で、糸紡ぎに励んでいるサフィーア。


「王子、仕事をするかイチャつくか。どちらかにして下さい」


側近バルマキーの意見にサフィーアも手を動かしながら「うんうん」と頷いた。


(シャールったら、朝から離れてくれないのよね…)


午前中、執務室に連行されたサフィーアは、リラックスモード全開で仕事をするシャールカーンの隣を定位置とされた。

サフィーアの傍では糸紡ぎの手ほどきをするためドニヤが控えている。


「サフィーアは俺の癒しだよ」

そう言って王子はサフィーアを背中から抱きしめた。