砂漠の夜の幻想奇談


純粋な好意からくる提案を彼はやんわりと断った。

「いえ、ありがたいお言葉ですが…この傷跡は残しておきたいのです。お見苦しいかもしれませんが、どうかこのままの髪でご勘弁下さい」

真剣なカシェルダの青い瞳に、サフィーアは小さく溜息をついた。


「…傷跡を残したいだなんて…変なの。まあ、頑固なカシェルダがそこまで言うなら仕方ないわよね」

納得しつつもサフィーアは続けた。

「でも損してるわよ?カシェルダは綺麗な顔立ちなのに、隠しちゃうなんて」

「私などより姫の方がお美しいですよ」

笑顔でサラッと言い切られ、サフィーアは頬を真っ赤に染めた。

「そ、そういう褒め言葉はやめて…!聞いてて恥ずかしい!」

「真実を伝えただけなのですが…」

カシェルダが苦笑していると、ギィーと扉の開く音がした。