「これがなかなか見つからなくてな~。黒い髪に褐色の肌なんだって。そう、丁度お前みたいな…」
「すまない!用を思い出した。俺はこれで失礼する」
カシェルダは慌てて湯から上がった。
後ろでトルカシュが「もう出るのか?」などと叫んでいるが無視。
そう――。
彼が今まで話していた青年はシャールカーンの従者、トルカシュであった。
彼はサフィーアの護衛官捜しに行き詰まり、風呂に入って仕切り直しを考えていたのだ。
まさか隣でくっちゃべっていた相手が目的の護衛官だったとも知らずに…。
(だが、これでハッキリした)
身体を拭き、服を着ながらカシェルダは確信した。
(姫は太守の屋敷にいる!)
カシェルダの眼が、獲物を見つけた捕食者の如く煌めいた。



