砂漠の夜の幻想奇談


これにはカシェルダも目を丸くした。


「シャールカーンが…ダマスの太守!?」

「知らなかったなんて…お前、隊商(キャラバン)か?」

「あっ…ああ。ダマスに来るのは、久々でな」

「そっか。なら知らなくても当然か。少し前に就任したばかりだからな」


青年は頷きながら湯を肩にかけた。

「その王子様が…最近、女を買ったとか。かなり寵愛してると噂になっているが…」

「サフィーア様のことか。確かに、王子はめっちゃ寵愛してる」


稲妻で打たれたような衝撃がカシェルダの内に起こった。


「サフィーアと…言うのか」

「ああ。実は俺な、王子から、そのサフィーア様の護衛官を捜索するように頼まれてるんだよ」

「なっ!?」


再びカシェルダの目が見開かれる。