砂漠の夜の幻想奇談


「おっ!兄ちゃん。詳しく聞きてぇなら、あいつと話してみな」

中年男性がカシェルダを見ながら、今の騒々しい青年を指差した。

「あいつは太守様の屋敷に勤めてるんだ。俺よりも色々知ってるだろ」

「そうなのか。わかった。ありがとう」


礼を言うと中年男性は風呂から上がってしまった。

残されたカシェルダは、言われた通り青年に話し掛けてみた。


「すまない、少しいいか?」

「ん?俺に何か用?」

「いや…君が太守様の屋敷に勤めていると聞いてね。最近、調子はどうだ?今の太守様はいい御方か?」

カシェルダの何気ない問いに青年は笑顔で答えた。


「もちろん!王子はいい方だよ」

「……王子?」

「あれ?知らないのか?今のダマス太守はシャールカーン王子なんだぜ」