砂漠の夜の幻想奇談



 翌日の午前中、カシェルダはもっと情報を集めるために浴場(ハンマーム)を訪れた。

彼がやって来た大衆浴場は、言うなれば西洋の酒場。

市民が気軽に集う社交場であり、様々な情報が集まる場所でもあるのだ。


ここで早速、カシェルダは気になる情報を掴んだ。


「太守様が女を買った?」

「そうなんだよ。最近買った女に惚れ込んじまったらしくて、貴族の娘からの求婚を片っ端から断ってるとか!」


中年男性と並んで湯に浸かりながら話し込む。

「その女はどんな女だ?」

「さあ?詳しいことは知らねぇな」

「そうか…」

思案するようにカシェルダが黙った時だった。


「くう~!やっぱり風呂はいいな~!癒されるっ」

騒々しい青年が入ってきた。