砂漠の夜の幻想奇談


「まあ、太守様ったら…」

ベールで見えないが、彼女の頬は恋の微熱により赤らんだ。

サフィーアも同様に頬を赤らめたが、こちらの原因は怒りからだ。


(私に求婚しといて別の女性にサラッとあんなこと言えるのね!シャールと一緒になったら絶対に浮気されるわ)


「申し訳ございません太守様。娘がどうしてもお会いしたいときかないもので…共に連れて参った次第でございます」

「ほう…それはまた」

シャールカーンが相手を魅惑する流し目を送ると、彼女は誘導されたように語り出した。


「だって、太守様が第二王子だと聞いて…私、一目お会い致したく…」


「なぜかな?」


女性を惑わす甘い表情を崩すことなく、シャールカーンは一歩彼女に近寄った。


「そ、それは…とても気高く、勇猛果敢で美しい方だと…噂を耳にしまして――」