「はぁ…また貴族とその御令嬢か。今日は忙しい。追い返せ。どうしてもと言うなら、後日また改めて…」
「王子!カカーン様は大層な贈り物も持参しておいでです。お引き取り願うのは…あまり…」
召使の言いたいことを察してシャールカーンは再び溜息をついた。
「わかった。歓迎しよう。馳走の準備を」
「畏まりました」
下がっていく召使の後ろ姿を覇気のない表情で見つめていると、腹心の部下バルマキーが内心同情しつつ、こう言った。
「王子、財務官の件は私にお任せを。ご希望通り、今日中に片をつけておきましょう」
「そうか…任せる」
「はい。貴族のお相手は貴方様しかできませぬゆえ、雑務はお任せ下さい」
「フッ…バルマキー。あまり俺を甘やかすなよ」
シャールカーンはバルマキーの胸板を拳でポンと叩くと、客が通される広間に向かったのだった。



