砂漠の夜の幻想奇談



 ところ変わって屋敷の中。

シャールカーンは執務室で大人しく仕事に励んでいた。


「バルマキー、この前の訴訟に関する資料が見当たらないんだが…」

「それでしたら全てまとめてこちらに」

「貸してくれ。ああ、そうだ。トルカシュ、暇か?」

王子は近くをふらふらしていた武官を呼んだ。

目をつけられたトルカシュは大きな溜息を吐きつつ答える。


「暇じゃないけど暇ですよ。何ですか?」

「サフィーアの護衛官が砂漠で行方不明になったらしい。捜索してくれ」

「キリスト教徒の捜索ですか。めんどくさいですね」

いかにも嫌そうな顔をする部下に、シャールカーンは考えるような素振りを見せた。


「キリスト教徒といっても、白人ではないらしい。黒髪に褐色の肌だ」

「え?こっち系じゃないですか!本当にサフィーア様の護衛官なんですか?」