「まさか…王子達の…」
「そうなの!婆やに聞いたらね、この方達は私の十二人の兄上だって。私、兄上がいるなんて知らなかったから、すごく嬉しくて」
笑顔でしゃべっていたサフィーアだったが、そこまで言うと急に悲しげな表情になった。
「でも、婆やは兄上達の話はしちゃダメって。この部屋に入るのも禁止だって言われて…。ねえ、カシェルダは知ってる?私の兄上達が今どこにいらっしゃるか」
サフィーアはカシェルダのやや褐色な顔を切なげに見上げた。
「いえ…私も存じません。王子方がいらっしゃることは聞き知っていましたが…」
十二人もいる王子が現在一人もこの王宮にいない。
過去に何かあったようだが、姫の婆やのような古参の使用人は王子達の噂話が出ると口を閉ざしてしまうので謎は深まるばかりだ。



