砂漠の夜の幻想奇談


サフィーアの上から身を起こしながら考えていると、か細い声が聞こえた。


「奴隷って…何をすればいいの?」


サフィーアの瞳が髪の色と同様、暗く染まる。

その表情にシャールカーンは罪悪感を覚えた。


「何も……何もしなくていい。君の仕事は、俺に寵愛されることだ」

彼はサフィーアの頬を優しく撫でた。


「俺に愛されてればいい。後は、自由にしてるといいよ」

何も初めから、彼女に仕事をさせるつもりはなかった。

奴隷といっても肩書だけ。

もっと早くそう教えておけば良かったのだろうか。


(そうすればこんな悲しい表情、見なくて済んだのか…?)


思いあぐねていると、頬を撫でていたシャールカーンの手をサフィーアがそっと握った。