「客人?今日は誰とも会う予定などないが…」
シャールカーンが訝しむと、背の高いバルマキーは少し屈んで報告した。
「お知り合いの奴隷商人ですよ。売りに来たのではないですか?娘を一人伴っていましたから」
「ああ、例の御長老(シャイクー)か。わかった。会おう」
窓辺から移動する王子を見送りながら、憐れなトルカシュは同僚に助けを求めた。
「助けてくれよ~バルマキー!文官はお前だろう?」
書類に埋もれたトルカシュを見て、バルマキーは冷ややかに笑う。
「生憎と、私は自分の仕事で手一杯なので、無理ですね。暇な武官の貴方が丁度よいでしょう」
「ヒデー!ヒデーよ~!みんなで俺をイジメる…」
愚痴をこぼしつつも、この日、トルカシュはシャールカーンの雑務を全て引き受けたのだった。



