砂漠の夜の幻想奇談



 その頃、シャールカーンはというと。

「はあ…」

「溜息やめて下さいよ~王子」

「うるさい、トルカシュ。黙っていてくれ」

昨日から暇さえあれば溜息をこぼしている王子。

原因はもちろん、サフィーアだ。


「ああ~っ、本当に知らないのか?トルカシュ」

「ですから、昨日から言ってますでしょう!サフィーアなんて娘は知りませんよ」

太守としての書類仕事をトルカシュに押し付け、現在シャールカーンは窓辺でたそがれている。

「ちゃんと護衛もつけて送り届けると約束したのに…いなくなっているなんて…」

「夢でも見たんじゃないですか?」

トルカシュが軽口を叩いた時だった。

バルマキーが執務室にやって来た。


「シャールカーン王子、客人がいらっしゃっています」