砂漠の夜の幻想奇談


ズバリ言い当てられ、男は怯んだ。

チッと舌打ちをしてから渋々といった表情をする。

「で?あんたの言うその値段はいくらだよ」

「十万ディナールだ」

「十万か…まあ、いいだろう。交渉成立としようじゃねぇか」


それから三人は宿屋から出ると、奴隷商人の自宅へ訪れた。

その立派な屋敷の中には商人達が使う公定のはかりがあり、老人は金貨を一ディナールずつ慎重にはかると約束の金額を男に支払った。


こうして盗賊の頭から奴隷商人に売られたサフィーア。

彼女はここで女奴隷の身分に成り下がったのである。


(これから、どうすればいいの…?)


盗賊の頭が出て行った後、サフィーアは老人と二人、屋敷の居間に残っていた。

すでに縄は解かれている。

彼女が縄のせいで痛めていた手首を摩っていると、老人が話し出した。