サフィーアが見た目も頭も良いとわかった今、盗賊の頭はしぼれるだけしぼりとろうと考えた。
五万ディナールだって彼が得るには過ぎた額のなのに、それ以上を要求する。
「なら…七万ディナールでは?」
「金貨九万ディナールが妥当だ!こいつを養うための食料や服にそんくらいはかかったさ」
男は大ぼらを吹いてみせた。
実際は銀貨一ドラクムだってかかっちゃいない。
商人の方もさすがにこの嘘を見抜いたようだ。
「何を言う!よいか、わしは今から言う値以上を出すつもりはない。もしこれで不承知ならば、わしはこの足でダマスの太守シャールカーン王子様のもとへ行って、彼女が受けた虐待を訴え出るからな。どうせお前さんは、このお嬢さんを盗んできたのだろう?この泥棒の山賊め!」



