日常のひとこまで何気なく語られていた彼の言葉には、色々と大切な事も含まれていたらしい。
(ありがとう、カシェルダ。貴方のおかげよ。なんだか、傍にいないのに守られてるみたい…)
サフィーアは指を祈りの形に組んだ。
(私は大丈夫よ。だから貴方も無事でいて…カシェルダ。神様、どうかカシェルダを死や絶望からお守り下さい)
さて、彼女が一人祈りを捧げているうちに、二人の男達の交渉が始まった。
「金貨二百ディナールでどうかね?」
「とんでもねぇ!こいつの服だって二百ディナールじゃ譲れねぇからな!そんな額じゃ売るのはやめだ!」
「では金貨五万ディナール」
「ダメダメ!そんなんじゃ砂漠に連れ戻してこき使った方がマシだ。ラクダに草をやったり、糞を拾わせたり。やることは山ほどあっからな」



