砂漠の夜の幻想奇談



(そうよ。カシェルダが言ってたわ。まごころを発達させるには…)


「どうした?答えられんか?」

沈黙しているサフィーアに商人は優しく尋ねた。

すると、サフィーアが甘やかな声音でしゃべり出した。


「第一の門は処世術。第二の門は行儀と修養。そして第三の門は徳。これらを極めてこそ、まごころが発達する」


聞き手の二人はハッと息を呑んだ。

「これはこれは…」

「ヒュ~」

正しい答えをしっかりした口調で言ってのけたサフィーア。

商人の頭の中で、彼女の値段が跳ね上がる。


(よかった…答えられた)


ホッとしつつカシェルダの言葉の続きを思い出す。


――民の上に立つ人間はこの“まごころ”を決して忘れてはなりません