砂漠の夜の幻想奇談


「御身の上に平安あれ、お嬢さん」

老人は挨拶を済ますと、じっくりサフィーアを観察し始めた。

「ふむ、容姿は申し分ないな。お嬢さん、言葉はわかるかね?」

「はい…わかります」

「綺麗な声だ。ではお嬢さん、少し頭を使ってもらいましょう。人生には三つの門があるというが、それは一体何かね?」

商人の問い掛け。

これはサフィーアの知識を試すものだった。

単なる顔だけのお嬢さんなのか、教養も持ち合わせているのかで値段が違ってくるからだ。


「人生の、三つの門…?」


サフィーアは必死で記憶をたどった。


(何だったかしら…。どこかで聞いたような気がしたんだけど…)


と、不意にカシェルダの声が頭の中に響いた。



――姫、人生には一つの目的がございます。それは“まごころ”を発達させることです