「えりかちゃんか〜!あ、俺は雪夜!んで、こっちは───」
「翔。松下…翔」
「おぉ!翔!めずらしいな自分から自己紹介すんなんて」
余計なこと言うなよ、
「雪夜、黙れよ」
「じゃあ、雪くんとしーくん!!」
えりかは笑顔でそう言った。
“しーくん”
その一言で昔の記憶がフラッシュバックした。
ドクンッと心臓が跳ね上がる。
その名前で呼ばないでくれ…
俺は、江梨花を重ねちまう。
「 えりかちゃん!それで、どーしたの?」
「あ、うんとね…その…雪くんに会いたいっていう友達がいて…会ってくれませんか!」
「え、全然いいよ!な、翔!!」
「は?俺には関係ねーだろ」
誘われてんの、雪夜なんだから。
「あ、それが…その子二人で会うの恥ずかしいからって…私も誘われてて、しーくんもどうかなって」
……いつもの俺なら、断ってた。
行く理由がねぇから、行ってもつまんねーから…なのに、なんで……
「わかった、俺も行く」
誘いに乗ってしまったんだろう。