「・・・でください」

「・・・え?」

小声の為、なんて言ったかわからなかった。



「きㇻゎなぃ・・・で」

震えた声で、そう言ったのがやっと聞こえた。

…嫌わないで?・・・そんな嫌うだなんて、ありえない。


オレは、美織が好きで…好きで・・・。


「まぁ、そんなにかしこまらないで、楽しくやろう」

そう言って微笑んだ東吾は、美織の肩を優しく撫で、

食事を始めた。


…それからは、今後の、仕事の話がほとんどで、

美織はあまり楽しめなかったかもしれない。

そう思うと、申し訳なかった。


会計を済ませ、外に出た。

「オレ、これから他へ行かなきゃならないんだけど、

美織、一人で帰れるか?」

美織の頭を撫でながら、東吾が問いかける。


「・・・もぅ。私も大人です、一人で大丈夫」

そう言って微笑んだ。


「帰る方向は同じだ、オレが送る」

「「え?!」」

オレの提案に、東吾も美織も驚いている。

そんなに驚く事でもないだろ・・・