シュシュ~番外編①~

私が向かった先は。


「・・ったく。帰りが遅いと思って、

GPSで調べたら、こんなところにいた」

そう言って溜息をついたのは。

もう、お分かりになっただろうか?


「お兄ちゃん、家まで送って」

そう、私の兄、東吾だ。

成人してから別々に住み始めたが、東吾は、私のマンションの

隣のマンションに住んでいる。

兄であり、親代わりでもある東吾が、一人暮らしを始める条件が、

近くに住むこと、だった。

シスコンと言われようが、親代わりである以上、そこは譲らなかった。

成人した今でも、私が心配でしょうがないらしく、

連絡していないときは、こうやって、私を探しに来る。


普段は、厄介だと思う事もあるが、

こういう時は、兄に感謝したいくらいだ。


「連絡くらいしろよ。・・・大泉社長と一緒だったんですね。

それなら、迎えになんか来なかったのに・・・

って言うか、何で、ここに龍之介がいるんだよ?」

この奇怪な組み合わせに、東吾は怪訝な顔をした。



「そんな顔すんなよ、前々から言おうと思っていたんだ。

オレは、美織の彼氏だ」

…等々、言ってしまった。

このとんでもないタイミングに。