シュシュ~番外編①~

…まさか本当に来たりしないよね?

仕事だって言ったし。

…きっと来ない。そう思う事にした。


「大丈夫でしたか?」

「はい、すみません…で、本題ってなんお話しですか?」

・・・聞くんじゃなかった。

後悔しても遅かった。


「あぁ、その件なんですが、貴女と、正式に、婚約しようと、

話しが進んでまして」

「…何の冗談でしょう?」


「…冗談に聞こえますか?」

「・・・」

全く聞こえはしないが、そうであってほしいと願ってやまない。


「…どこからそんな話が湧いてきたんだと、言う顔ですね」

「・・・その通りです。私には、お付き合いしている人もいますし、

大泉社長と、婚約だなんてありえません。

私は大泉社長の秘書で、貴方は私の上司にすぎません」


「確かに、それは正論です・・・でもね?

それを賛成してくれたのは、貴女のお兄さんですよ?」

私は耳を疑った。

…まだ、龍之介との付き合いは告白していなかった。

そろそろ打ち明けるべきだと思っていたところではあったが、

まさか、水面下でそんな話が、私抜きで進められていたとは。