「そこでだ、社長には秘書がつきものだ」

そう言って東吾を見つめた親父。


「そうですね、社長秘書なら、優秀な人材がなるべきです」

「そうだ・・・よろしく頼む、東吾」


「・・・は?」

突然の言葉に、理解不能な東吾。

そんな東吾を見て、苦笑いの親父。

断れないだろうな、と思ったオレ。



「東吾は、変わり者の龍之介の事をよく知ってる。

それに、東吾の仕事に対する優秀さも認める・・・だから、

この変わり者の龍之介を頼めるのは、お前しかいないんだ東吾」


「…それは、オレが秘書になれと言う事ですか?」

「その通りだ」


「…お断りします」

「「何?!」」

思ってもいない東吾の言葉に、オレも親父も、驚きを隠せない。


「龍之介は本当に変わり者です。コイツを上手く動かすなんてオレには無理です」

「まぁ、そう言わないで」

東吾を丸め込もうとする親父。


「大体、今、大きな建設の設計を任されていると言うのに、

急にそんな事を言われましても困りますよ」

…確かに。