シュシュ~番外編①~

若干の恐怖の中、車はずっと走り続ける。

…一体、どこまで行くのだろうか?


…と、急に龍之介はどこかに電話を始めた。

「あぁ、さっきはどうも。

さっきキャンセルの電話をしたんですけど、

もう一度、予約し直してもいいですか?…はい、今そちらに。

・・・そうですか、いつもすみません、無理を言って、じゃあ」

そこで電話は終わった。



「・・・どこへ?」

小さな声で尋ねるが、龍之介は返事をしてくれない。

…いつまでそんなに不機嫌なのか?

そう思うと、だんだん腹が立ってきた。


「龍之介さん」

腹が立って、ようやくいつもの調子で、声が出た。


「・・・なんだよ」

相変わらず不機嫌な龍之介は前を向いたままそう言った。


「何でそんなに不機嫌なんですか?」

「美織が悪い」


「…何で私?」

「お前が、あんなエロ社長と手なんか繋いで、仲良く

レストランなんかに入ってきたから、悪い」


「なっ・・・龍之介さんだって、貴子さんと手を繋いでいたじゃないですか?

大体、龍之介さんにそんなに怒られる事も、貴方を不機嫌にする理由も、

私には何一つないんですよ・・・放っておいてください!」