シュシュ~番外編①~

車を降りると、またしても手を繋ぎ、

アタフタする私にはお構いなしに、中に入っていく要。


「…社長、手」

「気にするなよ、減るもんじゃなし」

要はそう言って意地悪な笑みを浮かべた。


そして、いよいよレストランの中へ。

・・・とそんな感じで、今に至る。


「美織、オレとの約束は?」

「・・・あの、え・・・と」

超不機嫌オーラバンバンの龍之介。

私は小さく、小さく、肩をすくめ、上目遣いに龍之介を見た。


約束の時間までは、まだまだたっぷりある。

だから、何も私に落ち度はないのだけれど。

そんな怒った顔で、見つめられたら、何も言えなくなってしまう。


「大泉社長、美織は、オレとの先約がありますので」

それだけ言った龍之介は、私を強引に要から引き離すと、

レストランを後にした。


・・・長い長い、沈黙。

チラッと龍之介を見ると、相変わらず超不機嫌。


「ったく、あのエロ社長」

そう言った龍之介は、ちっと舌打ちした。

・・・怖い。