シュシュ~番外編①~

「そんなこと言ったか?」

ニヤっと笑ってすっとぼけた東吾。

・・・コイツ!思わず殴ってしまいたい衝動に駆られる。


「…ったく。もういい」

ふて腐れたオレは、窓の外に目を移した。


コイツが義理の兄貴とか、マジで嫌かも・・・

そうは思っても、美織への気持ちは、フラれない限り、

終わりそうにない。

・・・これから、どう進むべきか?


そんな事を考えていたその週の週末。

親父に仕組まれたお見合いに、出席する羽目に。

…この日は、美織に会おうと、美織にもらったネクタイを締め、

準備万端だったって言うのに、

あのくそオヤジめ。

ただじゃおかないからな。


そんなことを思いながら、オレは今、ホテルのレストランで、

見合い相手を目の前に、超不機嫌な顔で座っていた。



「…初めまして、大泉貴子と言います」

そう言って微笑んだ、顔はまぁまぁの、おしとやかそうな、

でもそれは猫をかぶってるのが丸わかりな、令嬢だった。

・・・大泉。

どこかで聞いたような。

・・・どこだっけ?

オレは貴子をマジマジと見つめた。