シュシュ~番外編①~

「顔緩ませすぎだぞ、龍之介」

「うるさい」

…東吾の言葉にハッとして、すぐに顔を元に戻した。


「龍之介って、コイバナには無縁の男だけどさ、

もしかして、美織の事、好きなのか?」


ズバリ、核心に触れた東吾。

オレは背中に冷たいものを流しながら、それでも、表情を崩さずに言った。


「ま?!・・・まさか、そんなわけないだろ」

一瞬、声が上ずった。


「なんて声出してんだよ?まあそうだよな。

お前には美織はもったいない・・・」


「?!…このシスコン男め」


「お前だって、なんだかんだ言ったって、薫子ちゃんの事、

過保護すぎるくらい、面倒見てんだろ?

おかげで、オレの恋は、簡単に終わったぞ」

そうボヤく東吾。


そうなのだ、妹の恋を応援するべく、動き、見事、

薫子は、西条社長と上手くいった。

・・・が、そのおかげで、親友の東吾の恋は、

見事に砕け散ったのだが・・・


「それに関しては、何度も謝っただろ?

薫子が幸せになるなら、オレじゃなくてもいいって

そう言ったのは、どこのどいつだ?」

バックミラーに映る東吾の目を睨んだ。