・・・やっぱり。

妹の薫子ちゃんでさえ、知らないのか。


「あ、でも!」

「・・・え?」


「この間、お父さんが、結婚させるとか言って、

沢山のお見合い写真を、お兄ちゃんに押し付けてた」


「・・・」

薫子ちゃんの言葉に絶句する。

…じゃあ、その中の人と、結婚するの?



「…美織さん?」

「…エ?…ぁ、何?」



「そんなこと聞いてどうするの?」

「・・・」

・・・流石は薫子ちゃん。

天然、恋愛経験もほぼない彼女に、この話をしても、

ピンときてないらしい、不幸中の幸い。



「…とくに意味はないんだけどね、謎の人だから、

急に知りたくなって・・・

じゃあ、その中の誰かと、結婚するのかな?」


「…お兄ちゃんて、結婚なんてするのかな?

私も人のこと言えないけど、お兄ちゃんも、今まで

恋愛経験あんまりなさそうだし・・・

お父さんに押し切られない限り、結婚はしないと思うよ」