小さな石ころの上を 布がなびくように流れる水。

真っ白なスケッチブックにペンキをこぼしたように 鮮やかな青空。

おとぎ話にでてきそうな 可愛らしい小さなお家。

やさしく私をよぶ母の声。 やさしく私をよぶ誰かの声。












ねぇ......覚えてる?あの日約束.....。
あの日のこと......。

















「ふー?ごはんできたわよー!」

ふわりと上から母の声がした。

「はーい今いくー!」

ひんやりと冷えた川から
足をだし 返事をした
全速力で坂を上り家へとむかう
途中できれいに咲いている 一輪の花を摘んだ。

「ただいま!!」

「おかえりなさい あら!!
きれいなお花ね あとで花瓶にかざろうか 手洗っておいで」

少し小さな家中にカレーのいい香りが広がっていた 。

手を洗い椅子に座る

「今日は、フユの好きなカレーよ」

「やったぁー!!」

フユは小さな腕をいっぱいいっぱいに
伸ばして喜んだ食卓には母とフユのお皿とスプーンそしてデザート のアップルパイがならべられた

「アップルパイだ!!」

「カレー全部食べ終えたら
一緒に食べようね」

これまたフユのすきな食べ物だ。

「お母さんも全部食べたら
一緒に食べよう ね!! 」

「はいはい」

母はクスクスと笑うとまたすぐに食べ始めた

その時だった.....

急に辺りが薄暗くなり
少しずつ空気が冷たくなった
しだいになびくように流れていた
川の水は動きを止め
鮮やかだった空は黒を混ぜたように濁った。

「フユこっちにおいで」

寒くなりぶるぶると震えるフユにコートを着せ抱き しめた。

「お母さんもこれ着て」

母にコートを渡した。

まるで氷河期がきたかのように世界は一瞬にして凍 りついた





「小さな花がありました
大地に一輪さみしく
友と出会うとき世界はまた
生まれ変わる」
もそもそと誰かの声がした。

「フユ?そのお花ずっともっとくんだよ綺麗なお花 だからあとで一緒に押し花にしてかざろうね。」

震える母の声 ヒューヒューと家をかけぬける風

「ここでまっててね」

母はそう言い残すとドアのをあけ外へでていった。

「お母さん眠たいよ。少しだけさきに眠るね」

そう言うとフユは眠りについた。

フユが目をさますと
そこはいつもと変わらない風景
ちがうのはなにかの暖かさだった。

「おきたかい?」

後ろから男の人の声がした ゆっくりと首をかしげながら振り向いた そこにはまるでくまさんのような大きなおじさんが 立っていた。

「おじちゃんだーれ??」

「おじちゃんはね、今日から君のパパだよ」

「ぱぱ??」

突然パパ宣言をされフユは驚き目を真ん丸にしてい た。

「無理もないまだ小学生だもんな」

するとまた後ろから声がした。

「っよ!おれはカイ!まぁーいろいろあって今日か らお前の兄弟ってわけさ!」

「おにぃちゃん?」

「そそっ!おにぃちゃんってよんでいいぞ!」







この世界は繰り返す
生と死
母体から生まれた命もまた
同じ運命になろう。

この世界は繰り返す
生と死
新たな命もまた
同じ出会いをするだろう。

世界はまた始まり..... また終わる.......