湊のことを、深く想い出す季節がやってくる。

それは、苦しい記憶を掘り起こすとき。




あの日。

やってきてしまった。

永遠の別れが。




逝かないで・・・。

祈ったけれど、願ったけれど。

それは、無理なお願いだったに違いない。




私はそのまま立ち尽くしていた。

何も出来ず、目の前の光景を目に焼き付けていたの。




私の身体は、いつもこの人に支えられている。

震える腕の中で、私は埋められない寂しさを埋めようとしている。

これがどんなに非道い行為だとわかっていても、この腕を掴んでしまっている。




離せない。

そう感じる日が、来る気がしている。




空が高くなってきた。

秋の空の気配が、近づいてきている。




また、この季節が来る。




ねえ、湊。

もう一度、名前を呼んで。

もう声すら忘れてしまいそうで、怖い。




力強い腕が、湊の感覚を忘れさせそうで怖い。

切なさばかりが積もっていく。






.....To Be Continued.