目の前には映画館のチケットが二枚、差し出されている。


「よかったら映画行かない?」


目の前でにこにこ微笑む彼。

「私でいいの?」

「うん、結ちゃんと行きたいんだ。明日でよければ」

「明日ならちょうどバイトもないし大丈夫!行こう!」


委員会の帰り、私は岳君に映画に行かないかと誘われたのである。

その映画は海外の有名アニメーションの新作。

私もずっと気になっていて見たいと思っていたやつだ。


「親が前売り買ったのに行けなくなって、俺にくれたんだ。結ちゃん好きそうだから誘ってみてよかった」