イケメン幼なじみから逃れる方法。


ひゅっと華麗に蘭が回転したかと思うと、どかっと鈍い音をたてて翔己くんは床に倒れこんだ。


私は正直なところ、この光景を見慣れているので周りのみんなみたいに驚くことはなかった。

彼女は中学時代は柔道部だったのである。もちろん、黒帯。それどころか県内大会で優勝するほどの腕前なのである。


え?某漫画のヒロインとキャラが被ってる?…ま、まあそんなことは置いときましょう。



「翔己、次こういうことしたら許さないから」



その言葉自体には力がこもっているけれど、彼女の目にはうっすら涙が浮かんでいたのを私は見逃さなかった。