「…そういえばさ、俺の学校の近くに新しいカフェできたんだけどさ、そこのショートケーキがめっちゃ美味いらしいんだよ」
ぴくっとその言葉に反応する私はまだまだ子供なんだろうな。
「…おごってくれる?」
「もちろん。ほら、10分待っててやるから用意しろ」
「わかった」
怜は私のご機嫌取りの仕方も、好みも、なんでも知っている。
生まれた時からずっと一緒に過ごしてきて、お互いをよく知っている、家族よりも身近にいる人物なのかもしれない。
―でも、それが私に彼氏ができない一つの原因だったりする
用意も終わり、怜と私は歩きながら目的地へと向かう。
大通りに出ると、道行く女の人たちが私の隣にいる人物にちらちらと目をやっているのがわかる。

