後に残るのは、怜の香りだけ…


「ふっ…怜のばかぁっ…なんでそんなこと…っく」


涙は止まることなく、後から後から零れ落ちる。

でも、私がもっと必死に本当のことを伝えてれば。

怜の言うことを聞いて、デートに行かなかったら…?


こんなことにはなってなかったのかもしれない。


「怜っ…怜っ…」

今の私には、怜の名前を泣きながら呼ぶことしかできないんだ。



―その日を境に怜は、私に関わらなくなった。