返事は急がないって言ってくれたけど、遅くすれば遅くするほど彼に期待をさせてしまう。 早く言わなきゃなのに、言葉は素直に出てくれない。 「帰ろうか」 岳君の優しい言葉に、私は頷くことしかできなかった… ―無言のまま帰ったのだろう、気づいたら家にいた。 部屋でベッドに横になり、ぼーっとしていると静かに部屋の扉が開いた。 「…結菜、おかえり」 いつもとはどこか違う雰囲気をまとった怜が入ってきた。