他愛もない話をしながら人の多い道を歩き、映画館へと到着する。 ドリンクだけ頼み、席へと着く。 映画は私が想像していたよりも、ずっと面白くてつい見入ってしまった。 映画が終わり劇場を出ようとすると、一気に出ようとする人の波で彼と離れそうになる。 「結ちゃん!」 呼ばれると同時に、捕まれた右手。 「はぐれないように…今だけね?」 にこっと微笑まれ、私はその手を払うことはできなかった。