愛斗君は、小説を読みながら、笑みをこぼしたんだ。 それを見た時、私はなぜか涙が出そうなくらい、 ホッとしたんだ。 今まで悩んでいたことや悲しみを全て、吹き飛ばしてくれるような感覚がした。 「千穂なにしてんの!早く~」 里奈は不思議そうにしていた。 それは、一瞬の出来事だったけど、嬉しくて嬉しくて 私は教科書を両腕に抱えて、緩んだ口元を、隠すように里奈にかけよった。