「……っ……」 伊緒は俺に抱きしめられると、少し落ち着いたようで、 俺の着物の袖をつかんだ。 ああ…… あったかい…… あれ…… 俺が今、抱きしめているのは誰だっけ…… 誰を、なんで、抱きしめているんだっけ…… 地震はいつの間にかおさまっていた。 俺の腕の中にいる人ももう平気そうだった。 そうか…… この人は…………