「いらっしゃ~い」


店の中にはお客さんは一人もおらず、

店主らしきおじさんとおばさんが私たちを出迎えた。



「旦那!

おやおや?今日は女の子連れですかい?」


小指を立ててニヤニヤと笑う店主のおじさん。


「そんなんじゃありませんよ……。

羽織を見せていただけませんか?」


「あいよ。」



千歳はおじさんの後に続いて奥に入っていこうとした。



「あ、伊緒。」

「え」


急に呼ばれて驚いた。



「中適当に見てて。すぐ終わる。」

「あ、うん。分かった。」



そうして千歳は奥に入っていった。