紗夜は一輪のバラだけを持って帰ってきた。 「もっと買えばよかったのに。 一万円渡しただろ?」 「いいの。一輪で十分。」 紗夜は目をつぶってバラの香りをかいだ。 「千歳、本当にありがとう。 白鳥のビルから出してくれて。 私が思っていたよりもずっとずっと、外の世界は綺麗で、 こんなにも……こんなにも…………」 そう言って、紗夜は空を見た。 純粋に感動しているようだった。 俺の思惑とは裏腹に、紗夜は世界の美しさを知った。