「俺は新見。千歳の保護者みたいなもんだ。」


「保護してるのは俺の方ですけどね。」


「んだとぉ!!」


新見さんの拳を華麗にかわす。



「えっと……。私は、紗夜(さや)っていいます。

小さい頃に金に困った母が私を白鳥のビルの前に捨てて行って……。

売られる予定だったんです……。」



随分と複雑な生い立ちだな……。



「おい、レディに先に名乗らせてるんじゃねぇよ、千歳!」



「さっきから新見さんが名前連呼してるでしょう……。」


「自分の名前くらい自分で言えよ!!」



「………………。

俺は宮野千歳。13歳。

さっきも見ただろうけど、泥棒だ。」



「よろしくね!

連れ出してくれて、ありがとう……。」



紗夜は今まであんなところに閉じ込められていたとは思えない弾けるような笑顔を浮かべた。