佐々木先輩たちは先生に言わなかったみたいで、目撃者も昼休みだったから少なく、おおごとにはならなかった。 「千歳、帰ろう。」 放課後、千歳に話しかける。 千歳は驚いたように私を見上げた。 「陽も待ってる。」 「俺のこと、怖くないの?」 「……怖くない。」 怖いのは千歳が見ていた『誰か』。 「お前……ホント変なやつだな。」 「そんなことない。」 「……そうだな。帰ろう。」 千歳は私の頭を優しく撫でた。