河原に響く少年野球の声。
散歩を楽しむ親子の、幸せそうな笑い声。

草むらに体を預けたのはいいが、日差しが眩しくて目を開けられない。
ここに来てからどのくらいの時間横になっていただろうか。
夏特有の草の香りが心地よくて、今にも眠ってしまいそうだ。

その時、携帯電話のアラームが鳴る。
いつの間にか、待ち合わせの時間になってしまったようだ。

「やべぇ」

でも、焦る気なんてない。
何分オレが遅れても、彼女はいつもの場所で待っていてくれる。
いつもの笑顔で。
文句の一つも言わないで。

逆に
「もっとゆっくり来てもよかったのに」
なんて言われた事もある。