「あ、深雪ちゃん待って」 パシッと左手首をつかまれた。 「何ですか?」 ゆっくりと振り返りながら、訊ねてみる。 「もう暗いし危ないから、送ってくよ」 「いえ、大丈夫です」 家の場所、なんとなく知られたくないし。 「ダメだよ。心配だから送らせて」 いつになく、真剣なその瞳に、 「…わかりました」 負けた。