左側の歩道に移るために、ちょうど青になっている横断歩道を渡る。 「ねぇ、深雪ちゃん」 横から唐突に出てきた声に、驚いて少し肩を揺らしてしまった。 「何ですか」 「深雪ちゃんってさぁ、彼氏とかいないでしょ」 ふと、視線が向けられたのが感じる。 「いませんね。必要性も特に感じませんし」 これといって、欲しいと思うわけでもないしね。