オレンジ色

「でも何も返答されてないし、・・・いや、とにかく、もうイんだよ」

 苦笑いに似た笑いを浮かべながらそう言うと、

「で、お前そのノートは見たのか?」

 そう返されて、

「・・・怖くて、見れるわけないだろ。泣くだけじゃ済まなくなる」

 そう答えた。


 オレはまだ一度もノートを開けてないけど。

なんとなく、なんとなくだけど、開けたら本気でもう立ち直れなくなる気がし、祐也に関わる全てを拒んでいた。


 思い出せば苦しくて。


 今だっていつでも涙はスタンバイOKで。
そんな状態でノートを開く勇気は、少なくともオレにはなかった。

「ちょっと、シン、ノートよこせよ」

 カズはそう強く言った。

「ヤダよ、オレが書いたページもあるんだし」

「いいや、ダメだ。お前が見ないならオレが見てやる」

「イヤだ。絶対に、ヤダ」

 頑なに拒むオレにいよいよ腹が立ったのか、

「いいからさっさと出せ!」

 今度はそう叫んだ。


 仕方なくオレは、見たくもない赤褐色のノートを出して、カズに渡した。

カズはそれを奪い取るような勢いで持って、ページをペラペラとすごい早さでめくった。

 オレは下を向いて、それを見ないようにした。



「オレ、お前には悪いけど、先に聞いちゃったんだ」

 ノートのページをめくりながら、カズがそう言った。
「先にって、何を」

 つられて少し顔を上げて聞き返すと。

「シンの事、好きなんですよねって」



 ・・・それは、つまり。


カズは元々こうなる結果を知ってたってことか。